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Kaori Channel

コーヒー生豆の素顔

コーヒー生豆の素顔

コーヒーを毎日飲んでいる方でも、その原料である生豆について関心を抱き、思いを寄せたことのある方はあまりいらっしゃらないと思います。

コーヒー豆は農作物ですから、その年の気候によって出来柄が違ってきますし、生産している国や地域によって種類や味、姿形も様々です。さらには収穫や精製の方法で不良の豆が混入することや、輸送や保存の過程で欠点のある豆に変化することもあります。

最近は生産国でも、ある程度の選別が行われるようになりましたが、私達の手元に届く生豆は、たとえ「スペシャルティーコーヒー」と呼ばれる優良な豆でも、決して完璧なものはありません。

不良の生豆「欠点豆」

コーヒー生豆

「欠点豆」と総称される豆には、虫に喰われたものやカビがはえた豆のほか、水洗式の精製の際、水や漕の汚れによって発生し異臭を放つ「発酵豆」、豆が黒くなって腐敗臭を出す「黒豆」、正常に結実できず色づかないままの「死豆」、さらには果肉がついたまま乾燥してしまった「コッコ」や果実の種皮がついたままの「パーチメント」などがあり、時には小石やトウモロコシの実も交じっています。

たとえば、60kgの麻袋の中に一粒の欠点豆が混入している程度であれば、味や風味に影響はないかもしれませんが、その一粒が私たちの飲む一杯のコーヒー7g(約50粒)に交じったら、風味を大きく損ねてしまいます。飲んだ瞬間にカビの味やにおいが口中に広がり、思わず吐き出してしまうこともあるでしょう。

当店では、どんなに忙しくても1回の焙煎の度に必ず試飲を行います。それぞれの豆の焼き上がりが狙い通りに、ピンポイントで仕上がっているか、出来栄えを確認するためです。一日に10回も20回も試飲を繰り返す中で、ごく稀に外し損ねた欠点豆に出くわすことがありました。せっかく納得のいく焼き上がりだったのに、試飲した1杯(7g)の中に、たった1粒の欠点豆が交じったため本来の風味や味が台無しにしてしまっているのです。この経験からその後、私たちはそれまで2度だったハンドピック作業を2倍の4回に増やしました。

コーヒーの焙煎

欠点豆については、あえてそれだけのコーヒーを飲んでみましたし、欠点豆の種類ごとに飲んでもみました。思わず吐き出してしまうもの、コーヒーの味がしないもの、中には舌にしびれを感じるものまでありました。

いかなる焙煎技術をもってしても、欠点豆から生じる嫌な味や臭いを隠すことができません。だからこそ当店は、麻袋から出し立ての生豆一粒ひと粒を、人の手で選り分ける「ハンドピック」を徹底し、これを最重点作業にしているのです。

そして当店では、「かほりブレンド」の澄んだ香りと味わいを追求するために、それぞれの豆を「中煎り」もしくは「浅煎り」で焙煎していますが、このやり方では、もし欠点豆が混入すると、風味や味にそれがはっきりと表れます。それは言い換えると、「深煎り」すればするほど、欠点豆は苦みに隠れてわかりにくくなるということでもあります。

売り手として最も手間がかからないのは、精製度の高い「スペシャルティーコーヒー」を仕入れ、それをそのままお客さまに提供することです。しかし、それは当然ながら値段の高いコーヒーになってしまい、高いお金を払って、いいものを手に入れることができる一部の方たちだけのものになってしまいます。

「かほりブレンド」のコンセプトは、ご家庭に常備され普段に飲まれている緑茶のように「なくてはならない生活の一部」になることです。がんや糖尿病対策に効果があるなど、最近はコーヒーの健康効果も唱えられています。そんなコーヒーを食後や休憩時、語らいの時などに何杯でもがぶがぶ飲んでもらう、それこそが当店の一番の願いなのです。

女性ならではのきめ細い作業

昨日より今日、もっと美味しいコーヒーを

「コーヒーの王様」と言われるブルーマウンテンは、値段が高く、気軽に買って好きなだけ飲めるというものではありません。だから私たちは、「コモディティーコーヒー」と呼ばれる普通の生豆だけどランクの良い物を厳選して仕入れ、これをスタッフが一丸となり、4回に及ぶハンドピックで徹底的に精製。さらに常に最高の状態で焼き上がるよう焙煎や配合に集中し、工夫を凝らし、試飲を繰り返しながら「がぶ飲みできる、安いブルマン」を目指してお客様に提供し続けております。

正直に申し上げると、ハンドピックは目や腰に大きな負担を強いる困難な作業です。業務時間の7割を占めるこの作業を「バカがつくほど」丹念にやり続けているのは、「これしか飲めない」と言ってくださるお客さまが一人二人と増え続けているからにほかありません。こうしたお客さまたちに支えていただきながら、昨日よりもっと美味しいコーヒーを今日こそ作ろうと、スタッフ一同頑張っております。

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